カテゴリー別アーカイブ: 活動報告

廃食用油燃料化施設見学会の報告

廃食用油燃料化施設見学会の報告
中野 政男

平成27年(2015年)11月19日、エネルギー部会は、再生エネルギーを学習するため、京都市南部クリーンセンター構内にあるバイオディーゼル燃料化施設を見学しました。

この施設は、平成9年創業で、京都府内の食堂等の事業系廃油(買取)や、市内約1,800ヵ所の拠点から収集した一般家庭の廃油を装置内で変性し、グリセリンなどの副生成物を分別精製したのち、バイオディーゼル燃料製品とする廃油再生施設です。

得られた製品は、ゴミ収集車約140台分の「軽油の100%代替燃料(B100)」として、また市バス95台分の「軽油への5%混合燃料(B5)」として利用されています。

生産規模は、バイオディーゼル燃料5kL/1日、軽油混合燃料6kL/1日で、約1,100 kL/年を生産しています。
これは、CO2として約2,700t/年の削減になるそうです。

製品価格は、市販の軽油と同等程度であり、実績からも使用可能な製品になっているとのことでした。

説明していただいた方は、今後、熱安定性の更なる改良や副生のグリセリンの需要開拓等を進めながら、拠点数を2,000ヵ所に増やしたいと意気込んでおられました。

当日は雨が降りそうな天気でしたが、詳しい資料を基に丁寧に説明していただいたり、施設をわかりやすく見学させていただいたりで、とても勉強になりました。… 全て見る

バイオマスリサイクル設備見学会の報告

バイオマスリサイクル設備見学会の報告
山本 修已

平成27年(2015年)10月15日、エネルギー部会は、バイオマスリサイクルを学習するため、堺市にある日本ノボパン工業株式会社へ行きました。

日本ノボパンは、建設現場から排出される家屋解体材・残材や、工場等から排出された木質廃棄物を循環利用しています。
ノボパンとは、前述の廃材等の≪資源リサイクル≫をすべく、チップ材化され、粉砕・精選の後、パーティクルボード工場で異物除去やチップ処理を施し、熱圧・成型されたパーティクルボードのことであり、そのノボパンを木質部材として、建設現場や工場へ供給され再利用材としています。

「ノボパン」(パーティクルボード)への再生により、木屑の焼却(廃棄)が回避され、木材中の炭素がCO2となって大気中に放出されることはありませんし、木屑ボイラーで焼却することにより、工場の全エネルギーを賄う自給自足工場でもあります。

始めにスライドを見て全体行程を学び、木村工場長の案内の基に現場見学をしましたが、まずは資源の最大限の有効活用という『企業理念』の基を感じました。

年間生産量は、1,254万トンを超え、市場占有率は30%と業界トップを占めておられます。

床材、壁材、家具材等々、我々に身近な住宅材(強度性能・耐久性向上)であり、見学者の質問も多く、意義ある見学ができました。… 全て見る

循環型エネルギー設備見学会の報告

循環型エネルギー設備見学会の報告
奥田 倫子

平成27年(2015年)9月24日、エネルギー部会は、循環型エネルギーを学習するため、神戸市建設局東水環境センターの東灘処理場に行きました。
バイオガスを自動車燃料や都市ガスとして使用し、CO2を削減しています。

約1時間スライドを見ながら、下水処理過程で発生するガスを精製して天然ガス燃料にする取組について伺いました。
その後の施設の見学では、まず、汚水の最初沈殿池へ行き、下水独特の臭いを感じましたが、空気を吹き込むことで微生物の働きを活性化し、汚水を分解していったのちの、最終沈殿池では臭いはほとんどなくなっていました。
6種類もの主役の微生物の働きには驚きました。

この段階での水は次亜塩素酸ソーダで処理され、一部は施設内の散水やトイレの排水に利用されています。
沈殿池の底に残った汚泥は卵型の1基1万立方メートルのタンク3基に入れられ40℃で30日間中温消化、撹拌され、最終精製されたガスはメタン98%となり市バスや宅配車へ供給されています。

当日は、バイオガスステーションで、トラックへのガス注入を間近で見る事ができました。
バイオガスは現在、都市ガス導管へ送り、家庭や工場にも供給されています。2020年までには一般家庭3000世帯が1年に使用する量を精製することを目標にしています。

処理中にできる脱水ケーキは焼却し、埋め立て処分にしますが、その過程でできるΜΑΡ(リン酸マグネシウムアンモニウム)からリンを取り出し、肥料にしています。このリンが商売になれば経費も出てきて、こうべバイオマスを大きく発展させることが出来ると期待されています。

まさにエネルギーの地産地消として、水とともに下水道もエネルギー源となる事を実感した1日でした。

 ※神戸市は人口約154万人で下水道普及率は98.7%、東灘処理場では38万人分の汚水処理を行っている。… 全て見る

地域熱・供給プラント見学会の報告

地域熱・供給プラント見学会の報告
岩元 喜代子

エネルギー部会は、平成27年(2015年)7月7日再生可能エネルギーの学習のため、大阪市中之島の関西電力ビルディング地下5階に設置されている、地域熱・供給プラントを見学しました。

 地域熱・供給システム(地域冷暖房方式)とは、複数のビルで使用する空調用などの冷水・温水を地域熱・供給プラントで集中的に製造し、地域導管を通じて各ビルの顧客へエネルギーを供給するシステムのことです。
 その特徴として、熱源は河川水のもつ熱(未利用エネルギー)であり、大気と河川水の温度差エネルギー(注釈)を、ヒートポンプを使って冷暖房に利用するシステムを全面的に採用していることがあげられます。100%河川水に依存する形態としては、全国初の導入事例となります。

本設備が、熱源・冷却水に利用している河川は、堂島川と土佐堀川の2河川です。
堂島川から取水した河川水をヒートポンプの熱源として使用し、土佐堀川に排水するシステムとなっており、地形を活用し、大気と河川水の温度差エネルギーを活用しています。一度排水した河川水を再度取水することはありません。
排水した熱の一部が、取水される河川水に干渉されるのを防止するため、2河川を活用したシステムとなっています。
 機器は、高効率熱回収型ヒートポンプを採用、電力負荷平準化を図るため大規模氷蓄熱システムを採用、また、変電所の排熱利用等が採用されています。
 
河川水熱交換器・スクリューヒートポンプ・氷蓄熱槽等が、あまりにも大きいことに、とても驚きました。

プラントからの熱供給は、同関電ビルを始め、ダイビル等にエリアが拡大しているということでした。
 環境保全においては、全国トップクラスの省エネルギーを誇り、このシステムによる省エネルギー率は約14%と想定されています。
 自然エネルギーを利用したエネルギー消費効率の高いヒートポンプチラー・ターボ冷凍機を活用した最適な冷水、温度供給システムを構築しています。環境負荷や変動に応じた最適な運用により省エネ、省コスト、省CO2を実現しています。
排熱を大気中に放出しないため、ヒートアイランド対策としても有効であることがわかりました。
                                   
注釈 温度差エネルギー
 河川の水温は、夏も冬もあまり変化がなく、外気との温度差がある。これを「温度差エネルギー」といい、夏場は大気に比較して河川水の水温が低く、冬場は大気に比較して河川水の水温が高い。この河川水の持つ熱を、ヒートポンプを使って、冷暖房などに利用できる。
 安定した熱需要のある都市部などは、温度差エネルギーを利用して冷暖房など地域熱供給が行われ、全国的に広まりつつある。… 全て見る

自然エネルギー設備見学会の報告

自然エネルギー設備見学会の報告
馬場 慶次郎

平成27年(2015年)7月7日、エネルギー部会は、自然エネルギー設備を学習するため、吹田市自然体験交流センター(通称「わくわくの郷」)を見学しました。

阪急千里線の北千里駅から徒歩10分の位置ながら、豊かな自然の中でバーベキューやキャンプを楽しむことができる、青少年育成団体を中心に、とても人気の研修施設です。
吹田市立青少年野外活動センターとして昭和36年に開設されましたが、平成21年に大規模改修を果たし、環境共生型施設として新しく生まれ変わりました。

施設の方に館内を案内して頂き、太陽光パネルによる発電はもちろん、地中熱を利用したヒートポンプによる空調設備や太陽光集熱による給湯システム、ペレットストーブなど、自然エネルギーを有効活用する設備が整備されていました。
また、本館棟の床や食堂の家具などに間伐材を使用、軒先には緑のカーテンの設置等、環境保護への取組も多く見られました。
 
このような施設においてこそ、自然との共生の大切さ、そして命の尊さを学ぶことができるのだろうと強く感心しました。… 全て見る